「内窓をつけたのに、まだ足元が寒い」
そんな声を、現場で何度も聞いてきました。数十万円をかけたのに効果を感じられない。調べれば「二重窓は効果なし」という記事まで出てくる。不安になりますよね。
結論から言います。二重窓に効果はある。ただし――条件を外すと、ほぼゼロになります。
この条件を知らないまま工事を進めた人が、後悔する。逆にここさえ押さえれば、窓際の冷気は驚くほど変わります。
本記事では、内窓が効かなくなる8つの原因を施工する側の視点で分解しました。あわせて2026年に使える補助金も整理。効く窓と効かない窓の見分け方まで、まとめてお伝えします。
「二重窓は効果なし」は本当か。結論から言います
内窓の効果を疑う声は、決して珍しくありません。検索すれば「効果なし」「意味ない」といった言葉が並ぶ。
ただ、こうした声を読み込んでいくと、ある共通点が見えてきます。効果がないのではなく、効果が出る条件を満たしていなかった。ほぼすべてがこのパターンです。
二重窓は、物理法則に沿って熱と音を止める建材。仕組み自体に疑う余地はありません。問題は、その仕組みが働く条件を工事の時点で外してしまうケースがあることです。
- 内窓のガラスが単板だった
- 外窓の気密がすでに落ちていた
- 部屋の窓の半分にしか付けなかった
どれも「効果なし」を生みます。そして、どれも事前に防げる。
この記事の目的はシンプル。あなたの家の窓が効く条件を満たしているかどうか、判断できる材料をお渡しします。
二重窓(内窓)が効く仕組み|空気層が断熱材になる
内窓と外窓の間にできる空気層が、熱を止める
内窓とは、いまある窓の内側にもう一枚の窓を取り付けるリフォームです。窓が2枚になることで、その間に空気の層が生まれる。
この空気層こそが本体。空気は熱を伝えにくい性質を持つため、動かない空気が閉じ込められた層は、そのまま断熱材として働きます。
外窓と内窓の間隔は、およそ7〜10cm。この距離が確保されることで、外の冷気が室内側のガラスまで届きにくくなります。夏は逆に、熱気の侵入を抑える方向に働く。
結果として、冷暖房で作った空気が窓から逃げにくい部屋になります。
ペアガラス(複層ガラス)とは、まったくの別物
ここが最大の誤解ポイントです。
「二重窓」と「ペアガラス」を同じものだと思っている方が、本当に多い。実際にはまったく違う商品です。
| 二重窓(内窓) | ペアガラス(複層ガラス) | |
|---|---|---|
| 窓枠の数 | 2枚(外窓+内窓) | 1枚 |
| ガラスの数 | 2〜4枚 | 2枚以上 |
| 空気層の位置 | 窓と窓の間(7〜10cm) | ガラスとガラスの間(数mm〜十数mm) |
| 断熱効果 | 高い | 単板ガラスよりは高い |
| 遮音効果 | 高い | 単板ガラスとほぼ変わらない |
とくに注意したいのが遮音性です。ペアガラスに交換しても、防音効果はほとんど変わりません。騒音に悩んでいる方が「ペアガラスにすれば静かになる」と考えて工事した結果、何も変わらなかった。こうした失敗は珍しくない話です。
音を止めたいなら、二重窓。ここは間違えないでください。
内窓で本当に得られる4つの効果【数値で示します】
断熱|冬の熱の58%は、窓から逃げていく
家の断熱を考えるとき、真っ先に手を付けるべきは窓です。理由は数字を見れば一目でわかります。
経済産業省 資源エネルギー庁の資料をもとにした冬期の部位別熱流出割合は、次のとおり。
| 部位 | 熱が逃げる割合 |
|---|---|
| 開口部(窓・玄関ドア) | 58% |
| 外壁 | 15% |
| 床 | 7% |
| 屋根 | 5% |
暖房で暖めた空気の6割近くが、窓から出ていく。壁の断熱材を厚くするより、窓に手を入れたほうが効率がいい理由がここにあります。
光熱費についても試算があります。LIXILのシミュレーションでは、内窓リフォームによって毎月の冷暖房費が約1,670円、10年間で約20万円の節約という結果。もちろん住まいの大きさや生活スタイルで変わりますが、目安にはなります。
防音|単板ガラス20〜30dBが、二重窓で40dBに
音の遮り方は「透過損失」という数値で表します。数字が大きいほど、音を止める力が強い。
- 単板ガラス1枚……20〜30dB
- 二重窓……約40dB
二重窓にすることで、低減できる幅はおよそ15dB。イメージしにくいので具体例を挙げます。
外が80dB――交通量の多い道路くらいの騒音レベルだとしましょう。二重窓を通すと、室内に届くころには約40dBまで下がります。40dBは図書館の中、あるいは夜の住宅街と同じくらいの静けさ。
ここまで変われば、体感は別世界。
ただし万能ではありません。地面や壁を伝わってくる振動系の騒音に、二重窓は効かない。この点は後ほど詳しく触れます。
結露|ガラスの表面温度が下がらなくなる
結露は、空気中の水蒸気が冷たい面に触れて水に変わる現象です。冬の窓ガラスが濡れるのは、ガラスの表面温度が下がりすぎているから。
内窓を設置すると、室内側のガラスは外気から切り離されます。空気層がクッションになり、冷やされにくくなる。表面温度が保たれれば、水滴はつきにくくなります。
カビやダニの原因を断つという意味でも、効果は小さくありません。サッシまわりの黒ずみに悩んでいた方が、内窓後に掃除の手間から解放される。よくある変化です。
防犯|侵入経路として最も多いのが、窓
空き巣の侵入経路で最多を占めるのは窓です。
内窓を付けると、破って入るべきガラスが2枚、開けるべき鍵が2つに増えます。侵入までの時間が延びれば、それだけ諦める可能性が高まる。
断熱目的で入れた内窓が、結果的に防犯性能も底上げしてくれる。副次的とはいえ、見過ごせないメリットです。
内窓が「効果なし」になる8つの原因
ここからが本題。
効果を感じられなかったケースには、必ず原因がある。現場で見てきたものを8つに整理しました。読み方は「症状 → 原因 → 対策」の順。
原因①|内窓のガラスに単板を選んでしまった
症状:内窓を入れたのに、窓際の冷えがほとんど変わらない。
原因:内窓のガラスは選べます。単板ガラス、複層ガラス、Low-E複層ガラス、真空ガラス。価格を優先して単板を選ぶと、断熱性能は大きく落ちる。
対策:迷ったらLow-E複層ガラス。「Low-E」とはLow Emissivity=低放射の略で、ガラスに特殊な金属膜をコーティングしたものです。熱の放射を抑えるため、複層ガラスの中でも断熱性能が高い。
しかも補助金の観点でも有利です。2026年度の国の制度では、内窓は熱貫流率Uw1.5以下でなければ補助対象になりません。単板を選ぶとこの基準を満たせず、補助金も逃す。高いガラスを選んだほうが、実質負担額はむしろ安くなるという逆転が起きます。
原因②|外窓がアルミ+単板のまま、気密が落ちている
症状:内窓を付けたのに、窓のあたりに冷たい空気の流れを感じる。
原因:二重窓の性能は、内窓だけで決まりません。外窓とセットで一組です。外窓が熱を通しやすいアルミサッシ+単板ガラスで、なおかつ気密が落ちていると、内窓と外窓の間の空間に外気が流れ込んでしまう。せっかくの空気層が「動く空気」になり、断熱材として機能しなくなります。
対策:工事前に外窓の状態を確認すること。劣化の度合いによっては、内窓ではなく外窓交換を選ぶべきケースもあります。判断の目安は後半で解説します。
原因③|既存の窓枠が歪んでいて、隙間が残った
症状:内窓を閉めているのに、すきま風のような空気の動きがある。
原因:内窓は、いまある窓枠に専用フレームを取り付けて設置します。つまり取り付けの土台になるのは、既存の窓枠。築年数が経った住宅では、この枠自体が歪んでいたり、ねじれていたりします。
枠が水平・垂直でなければ、内窓のフレームもわずかに傾いて付く。数ミリの隙間が残り、そこから空気が出入りします。
対策:採寸の段階で、枠の歪みを測る業者を選ぶこと。歪みがある場合は、パッキンやコーキングで気密を確保する処理が必要になります。ここは技術差が出る工程。安さだけで業者を選ぶと、この一手間が省かれます。
原因④|内窓と外窓の間隔が、適正でない
症状:断熱も防音も、思ったほどではない。
原因:空気層は、広ければ広いほどいいわけではありません。適正とされるのは約70mm。狭すぎると空気層が薄く断熱が効かない。広すぎると層の中で空気が対流し、かえって熱を運んでしまいます。
ただし遮音に限れば、間隔を広く取るほど有利になる傾向があります。断熱を優先するか、防音を優先するか。目的によって最適解が変わる部分です。
対策:窓枠の奥行が足りない場合は「ふかし枠」で調整します。この判断ができるかどうかが、業者の力量を測るポイントのひとつ。
原因⑤|部屋の窓の一部にしか、付けなかった
症状:1か所だけ内窓にしたが、部屋の寒さが変わらない。
原因:断熱も防音も、気密という一枚の袋で成立します。袋に穴がひとつでも空いていれば、そこから抜ける。
リビングに窓が3つあって、1つだけ内窓にした。残り2つの窓からは、これまでどおり冷気が入り続けます。部屋全体で見れば、体感はほとんど変わりません。
対策:部屋単位で施工範囲を決めること。予算の都合で全部は難しい場合、「よく使う1部屋を完全に閉じる」ほうが、「複数の部屋に1か所ずつ」より満足度が高くなります。
あとから追加すること自体は可能です。ただし工事は、まとめて行うほうが人件費を抑えられる。最初の設計が肝心になります。
原因⑥|悩んでいた騒音が「固体伝播音」だった
症状:防音目的で内窓を入れたのに、まだうるさい。
原因:騒音には種類があります。
| 騒音の種類 | 具体例 | 内窓の効果 |
|---|---|---|
| 空気伝播音 | 話し声、車の走行音、犬の鳴き声、電車の音 | 効く |
| 固体伝播音 | 地面や壁を伝わる振動、重低音、上階の足音 | 効きにくい |
窓は「空気を伝わってくる音」に対する対策です。地面や建物の構造を伝わってくる振動には、窓をいくら強化しても届きません。
対策:工事前に、悩んでいる音の正体を切り分けること。線路沿いの物件で「電車の走行音」に困っているなら内窓は有効。ただし「通過時のズシンという振動」が主なら、期待した結果にはなりません。
ここを曖昧にしたまま工事に進むと、双方が不幸になります。
原因⑦|換気が足りず、室内の湿度が高いまま
症状:内窓を付けたのに、結露が完全には止まらない。
原因:結露は「表面温度」と「室内の水蒸気量」の掛け算で決まります。内窓は前者を改善する道具。後者、つまり水蒸気そのものを減らす機能はありません。
加湿器を強めに使っている。室内干しをしている。開放型の石油ストーブを使っている。こうした条件が重なると、内窓を入れても結露が残ります。
対策:換気とセットで考えること。24時間換気を止めていないか確認する。洗濯物の室内干しは除湿機と併用する。窓の性能を上げるほど家の気密は高まるので、換気の重要性も同時に上がります。
原因⑧|そもそも、熱が逃げていたのは窓ではなかった
症状:窓は完璧に対策したのに、部屋がまだ寒い。
原因:開口部からの熱流出は58%。裏を返せば、残り42%は壁・床・屋根・玄関から逃げています。
とくに見落とされやすいのが床下。1階の底冷えは、床下からの冷気が原因であるケースが少なくありません。天井の断熱材が経年でずれている住宅もあります。
対策:窓だけで解決しないと判断できる業者に相談すること。「内窓を売りたい業者」は、内窓しか提案しません。家全体の熱の逃げ道を見たうえで優先順位を提示してくれるか。ここが業者選びの分かれ目です。
内窓のデメリットと、後悔しやすいポイント
いい面だけを書いても仕方がないので、正直にお伝えします。二重窓のデメリットは、大きく4つ。ここを知らずに契約した人ほど、後悔しやすい傾向があります。
掃除と開閉の手間が、2倍になる
窓が2枚になれば、拭く面も開ける回数も増えます。内窓と外窓の間には、ホコリも溜まる。狭くて手が入りにくいぶん、掃除しづらい場所です。
とくにベランダへの出入りに使う掃き出し窓。洗濯のたびに2枚開ける動作が加わります。「たいしたことない」と感じるか、「毎日は面倒」と感じるか。ここは人によって割れる。
頻繁に出入りする窓は、ショールームで実際に開け閉めしてから決めてください。
窓際が2〜7cm狭くなる
内窓は室内側に張り出します。設置箇所や製品によりますが、2〜7cm程度。掃き出し窓だと7cmくらい出っ張ると考えておいてください。
数字だけ見れば小さい。ただ狭小住宅や、窓際ぎりぎりに家具を置いている部屋では、圧迫感につながることがあります。
枠の色を壁と同系色にすると、視覚的な圧迫感は和らぎます。白い壁に白い枠。これだけで印象がかなり変わる。
窓辺に物が置けなくなる
出窓にディスプレイスペースを作っている。窓際に観葉植物を並べている。こうした使い方をしている場合、内窓の設置で場所を失います。
工事前に、その窓辺をどう使っているか。一度書き出してみてください。
費用が、想定を超えやすい
1か所あたりの金額を聞いて「それなら安い」と思っても、部屋単位・家単位でまとめると総額は膨らみます。
加えて、窓枠の奥行が足りなければふかし枠の追加費用。この見積もりが後出しになると、心証は一気に悪くなります。
現地調査の時点で、ふかし枠の要否まで含めた金額を出してもらうこと。ここを曖昧にする業者は避けたほうが無難です。
費用相場|窓サイズ別と、実際にかかった総額
内窓の費用は「本体価格(材料費)+施工費(工賃)」で構成されます。
窓サイズ別の本体価格の目安
| 窓のサイズ | 設置場所の例 | 費用相場 |
|---|---|---|
| 小窓 | トイレ、洗面所 | 約4〜6万円 |
| 中窓・腰高窓 | ダイニング、洋室 | 約5〜7万円 |
| 大窓・掃き出し窓 | リビング、ベランダ側 | 約8〜12万円 |
これに施工費が加わります。相場は一窓あたり約3〜7万円。
実績ベースで見ると、材工込みで1か所あたり平均8〜9万円というのが、ひとつの目安になります。
家1軒あたりの総額イメージ
断熱リフォーム専門業者が公開している実例を挙げます。
| 物件 | 施工数 | 費用合計 | 補助金 | 実質負担 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都北区・戸建(全窓) | 21か所 | 約132万円 | 約102万円 | 約30万円 |
| 東京都杉並区・マンション(全窓) | 6か所 | 約92万円 | 約76万円 | 約16万円 |
| 神奈川県横浜市・戸建(全窓) | 16か所 | 約135万円 | 約65万円 | 約70万円 |
横浜市の事例だけ実質負担が大きいのは、活用できた補助金が国の制度のみだったため。東京都の物件は、国+都+区の3階建てで補助を受けています。
住んでいる自治体によって、実質負担が倍以上変わる。これがこのリフォームの特徴です。
2026年の補助金で、実質負担はここまで下がる
内窓は、省エネ関連の補助制度でほぼ確実に対象になる工事です。ただし2026年度は制度が大きく変わりました。
先進的窓リノベ2026事業(国・環境省)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限 | 1戸あたり100万円 |
| 予算 | 1,125億円 |
| 内窓の性能要件 | 熱貫流率Uw1.5以下(Sグレード以上) |
| 申請期間 | 2026年3月31日〜遅くとも12月31日 |
| 予約期限 | 遅くとも2026年11月16日 |
| 対象となる着手日 | 2025年11月28日以降に着手した工事 |
2025年度からの主な変更点は3つ。
- 補助上限が200万円から100万円へ半減
- 内窓のAグレード(Uw1.9以下)が補助対象から除外
- 「特大」サイズ(サッシ4.0㎡以上)の単価を新設
とくに2つ目。これまで対象だったグレードが外れたため、2025年の情報のまま製品を選ぶと補助を受けられません。注意してください。
内窓設置の補助単価(戸建住宅・1か所あたり)は次のとおり。
| グレード | 特大 | 大 | 中 | 小 |
|---|---|---|---|---|
| SS | 140,000円 | 89,000円 | 58,000円 | 36,000円 |
| S | 76,000円 | 52,000円 | 34,000円 | 22,000円 |
| A | 対象外 | |||
なお本制度は、施主が直接申請する仕組みではありません。事務局に登録した施工事業者を通して申請します。契約前に、依頼先が登録事業者かどうかを確認しておくこと。ここは必須の確認事項です。
東京都・神奈川県の制度
国の制度に上乗せできる自治体の制度があります。
| 自治体 | 制度名 | 上限額 |
|---|---|---|
| 東京都 | 既存住宅における省エネ改修促進事業(令和8年度) | 1住戸200万円 ※断熱等+防犯窓は300万円 |
| 神奈川県 | 既存住宅省エネ改修事業費補助金(令和8年度) | 対象経費の1/3または15万円の低い額 |
さらに区市町村独自の制度が上乗せできる地域もあります。東京都内の実例で実質負担が3割以下まで下がっているのは、この重ねがけによるものです。
現場でしか分からない「内窓が効かない窓」の見分け方
ここからは、カタログやポータルサイトには載っていない話をします。
外窓の劣化を、自分で確認する3つのチェック
内窓の効果は、外窓の状態に左右される。工事を頼む前に、次の3点を確認してみてください。
1. サッシのレールに紙を挟んでみる
窓を閉めた状態で、レール部分にコピー用紙を挟む。抵抗なくスッと抜けるなら、気密が落ちているサインです。
2. クレセント錠のかかり具合を見る
鍵が固い、あるいはスカスカ。どちらもサッシが歪んでいる可能性を示します。窓とサッシの密着が甘くなっている状態。
3. 冬の朝、ガラスとサッシ枠の両方を触る
ガラスだけでなく、アルミの枠も同じくらい冷たい。この場合、枠そのものが熱を通しています。アルミは熱伝導率が高いため、単板ガラス+アルミサッシの組み合わせでは枠からも熱が逃げる。
3つとも当てはまるなら、内窓と外窓交換の両方を検討したほうがいい状態です。
ふかし枠が必要になる窓枠の条件
内窓を取り付けるには、窓枠に一定の奥行が必要です。この奥行が足りない窓に取り付ける場合、「ふかし枠」という部材で奥行を作り出します。
奥行が不足しやすいのは、次のような窓。
- マンションの窓(枠が浅い設計が多い)
- 出窓
- 浴室やトイレの小窓
- タイル貼りの壁に面した窓
ふかし枠を入れると費用が上がり、室内への張り出しも増える。見積もり段階で「うちの窓はふかし枠が必要か」を必ず聞いてください。即答できない業者は、現地をきちんと見ていない。
内窓ではなく、外窓交換を選ぶべきケース
内窓が最適解にならない場面もあります。
| 状況 | おすすめの工法 |
|---|---|
| 外窓の気密は保たれている | 内窓 |
| 外窓のサッシが歪み、建て付けが悪い | 外窓交換(カバー工法) |
| 窓の開閉頻度が非常に高い | 外窓交換 |
| 窓枠に奥行がまったくない | 外窓交換 |
| 費用を抑えたい/工期を短くしたい | 内窓 |
外窓交換のほうが費用は上がります。ただし建て付けごと直るぶん、根本的な解決になる場合がある。ここを比較検討せずに内窓だけを勧める業者には、一度立ち止まって質問してみてください。
東京都の助成金で、絶対にやってはいけない順番
東京都の制度には、見落とすと数十万円を失う落とし穴があります。
事前申込の前に契約すると、助成対象から外れる
東京都「既存住宅における省エネ改修促進事業」では、設備設置の契約・施工は「事前申込受付後」であることが条件です。
つまり――業者と契約してから助成金を申請しよう、という一般的な感覚で進めると、その時点で対象外。
正しい順番はこうです。
- 見積もりを取る
- 事前申込を行う
- 受付完了を確認する
- 契約する
- 工事する
- 交付申請兼実績報告を提出する
令和8年度の事前申込は5月29日から受付が始まっています。なお事前申込後、1年以内に交付申請しなければ、申込は自動的に無効。ここも合わせて覚えておいてください。
国では対象外のグレードが、東京都では対象になる
あまり知られていない非対称があります。
| 内窓のグレード | 国(先進的窓リノベ2026) | 東京都(令和8年度) |
|---|---|---|
| P(Uw1.1以下) | 対象(SS相当) | 対象 |
| S(Uw1.1超〜1.5以下) | 対象 | 対象 |
| A(Uw1.5超〜1.9以下) | 対象外 | 対象 |
| B(Uw1.9超〜2.3以下) | 対象外 | 対象 |
国の制度だけを見て「Aグレードはもう補助が出ない」と判断するのは早い。都内であれば、東京都の助成は受けられます。
もちろん性能の高い製品を選ぶほうが、補助額も断熱効果も上がる。ただし予算や既存窓の条件でグレードを落とさざるを得ない場合、都の制度が受け皿になります。
なお、都および公社の他の同種の助成金は重複して受けられない。国の制度との併用は可能です。
内窓とエアコンは、セットで考えたほうがいい
ここは他ではあまり語られない視点です。エアコン工事も手がけている立場から書きます。
断熱すると、エアコンに求める能力が変わる
窓の断熱性能を上げると、部屋から逃げる熱の量が減ります。当然ながら、必要な冷暖房の能力も下がる方向へ動く。
ここで意識しておきたいのが、買い替えのタイミングです。エアコンの寿命が近づいているなら、内窓工事とタイミングを揃える。断熱後の条件で機種を選んだほうが、無駄のない選定になります。
逆に、内窓を入れる前に大きめの機種へ買い替えてしまうと、オーバースペックのまま10年使うことになりかねません。
設定温度を下げても、寒く感じなくなる理由
体感温度は、室温だけで決まるものではありません。周囲の壁や窓の表面温度にも大きく左右される。
冬の単板ガラスは、表面が外気に近いところまで冷えています。この冷たい面が近くにあると、同じ室温でも寒く感じる。窓際に立つとひやりとするのは、この冷輻射が原因です。
内窓で室内側のガラス表面温度が上がると、この冷たさが消えます。結果として、設定温度を上げなくても暖かく感じられる。エアコンの効きが良くなったように感じるのは、能力が上がったからではなく、部屋が熱を逃がさなくなったからです。
設定温度を1℃下げられれば、電気代にも効いてくる。窓とエアコンは、別々の話ではありません。
よくある質問
Q. 二重窓は本当に効果がありますか?
A. あります。ただし前提となるのが、内窓のガラス選び・外窓の状態・施工範囲という3つの条件。これを外すと、効果を体感できないケースが出てきます。
Q. 内窓をつけても結露するのはなぜですか?
A. 主な原因は2つ。内窓のガラスに単板を選んだ場合と、室内の湿度が高すぎる場合です。前者はガラスのグレードで解決できる。後者は換気や除湿とセットで対策してください。
Q. 二重窓にすると、音はどれくらい静かになりますか?
A. 単板ガラス1枚で20〜30dB、二重窓で約40dBの遮音性能。外が80dBの環境なら、室内は約40dBまで下がります。ただし振動として伝わる音には効きません。
Q. 内窓の工事は、何時間かかりますか?
A. 1か所あたり約1時間が目安。家全体でも1〜2日程度で完了します。ただし内窓の多くは受注生産のため、発注から製作までに2〜3週間。契約から工事当日までは2〜4週間みておくと安心です。
Q. マンションで内窓を付けられますか?
A. 分譲マンションでは可能なケースが多いです。既存の窓枠を活かす工事で、共用部分に手を入れないため。ただし管理規約はマンションごとに異なるので、事前確認は必須。賃貸物件の場合は、オーナーや管理会社の承諾が必要になります。
Q. 補助金は自分で申請できますか?
A. 先進的窓リノベ2026事業は、施主による直接申請ができません。事務局に登録した施工事業者を通じた申請となる。東京都の制度は施主が申請者ですが、手続代行を業者に依頼することも可能です。
まとめ|効かない窓には、必ず理由がある
「二重窓は効果なし」という言葉の正体は、突き詰めれば施工と選び方の問題です。
ガラスのグレードを落とさない。外窓の状態を確認する。部屋単位で気密を閉じる。騒音の種類を切り分ける。この4つを押さえるだけで、失敗の大半は避けられます。
そして2026年は、制度が変わった年。補助上限は下がりましたが、東京都や神奈川県の制度と組み合わせれば、実質負担を大きく圧縮できます。ただし東京都は申請の順番を間違えると対象外。ここだけは慎重に進めてください。
窓は、家の断熱で最も費用対効果の高い場所。正しく手を入れれば、この冬から体感が変わります。


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